大人用おむつ売り場の品数は圧倒的で、初めての人はまず種類の多さで迷います。でも選び方の軸は、実はたった2つです。「立てるかどうか」と「ヒップ何cmか」。この2つが決まれば、あとは消耗品として安く回す設計の話になります。
結論:「自分で立てる・歩ける」ならパンツ型、「寝て過ごす時間が長い」ならテープ式。サイズはウエストではなく“ヒップ”で測る。日中は尿とりパッド併用で回し、本体の交換は1日1〜2枚に抑えるのがコスト・介助負担の両面で正解。最初は1パックずつ買い、箱買いは銘柄とサイズが固まってから。
まず月額を計算する
おむつの使い方(パンツ型・テープ式・本体のみ)と1日の交換回数を変えると、月額と月に買う枚数が変わります。「本体だけで毎回交換」を選ぶと、パッド併用に切り替えた場合の差額も出ます。
パンツ型かテープ式か:立てるかどうかで決まる
|
パンツ型 |
テープ式 |
| 向く人 |
立てる・歩ける・座れる |
寝たきり・立位が不安定 |
| はかせ方 |
下着と同じ(本人もはける) |
寝たまま交換できる |
| 交換の負担 |
立位か座位が必要 |
介助者1人で可能 |
| 本人の受け入れ |
「下着」に近く抵抗が少ない |
「おむつ」感が強い |
| 価格帯 |
1枚あたりやや高め(100〜200円) |
1枚あたり安め(80〜150円) |
| フィット |
動いてもずれにくい |
テープで腰まわりを調整できる |
迷ったら今の生活で「トイレまで歩けるか」を基準に。歩けるうちはパンツ型で本人の自立を保ち、状態が変わったらテープ式に移行するのが一般的な流れです。日中はパンツ型、夜だけテープ式、と使い分ける家庭もあります。
パンツ型の中の種類
| 種類 |
吸収量の目安 |
向く人 |
| うす型(軽快パンツ) |
2〜3回分 |
歩ける・外出する。パッド併用が前提 |
| 長時間用(しっかりタイプ) |
4〜6回分 |
夜間や外出が長い日。単体で使うことが多い |
| リハビリパンツ(はき心地重視) |
2〜4回分 |
トイレ介助で脱ぎはきが多い人 |
「うす型+パッド」が最も経済的で、パンツ型の主流です。
サイズの測り方:ウエストではなくヒップ
大人用おむつのサイズ選びで最も多い失敗が「服のサイズ感」で買うことです。メーカーのサイズ表はヒップ(腰まわりの一番太い部分)基準。メジャーで測って、パッケージのサイズ表と照合してください。
| 失敗 |
起きること |
| 大きすぎる |
足まわりに隙間ができて漏れる。歩くとずり落ちる |
| 小さすぎる |
ギャザーの跡が赤くなる。肌トラブルの元。本人が嫌がる |
- 立って測れない場合は、横向きに寝た姿勢でヒップの一番高いところにメジャーを回す
- サイズ表の境目にいる人は、パンツ型なら小さいほう、テープ式なら大きいほうがフィットしやすいことが多い(パンツ型は伸縮で密着、テープ式はテープで締められるため)
- 同じ「M」でもメーカーによって範囲が違う。銘柄を変えるときはサイズ表を見直す
病院や施設で使っていたものがあるなら、看護師に現物を見せてもらい、同じ型番・サイズから始めるのが最も確実です。
定番はこの2つから
- ライフリー うす型軽快パンツ Mサイズ 32枚×2個パンツ型の定番。うす型で本人の抵抗感が少なく「下着感覚」の入口に向く。パッド併用が前提Amazonで見る
- アテント 消臭効果付きテープ式 Lサイズ 24枚テープ式の定番。背モレ・横モレ対策の立体ギャザーと消臭機能つきAmazonで見る
- ライフリー 長時間あんしん尿とりパッド 24枚本体と重ねて使う。交換の主役はこちら(併用の計算)Amazonで見る
同じ型番でもサイズ展開が複数あります。リンク先でサイズ表を必ず確認してください。
1日何枚?枚数とコストの計算
基本の考え方は「本体は1日1〜2枚、交換の主役はパッド」です。
| 使い方 |
本体の消費 |
パッド |
月のコスト感 |
| 本体だけで毎回交換 |
1日4〜6枚 |
なし |
15,000〜25,000円 |
| パッド併用(推奨) |
1日1〜2枚 |
1日3〜4枚 |
8,000〜13,000円 |
本体を毎回替えると月2万円コースですが、尿とりパッドの併用に切り替えるだけで半額近くまで下がります。汚れたらパッドだけ交換、本体は朝・寝る前などの定時交換にする方式です。消耗品全体の月額は在宅介護の消耗品の月額計算でまとめています。
はかせ方・交換の手順
パンツ型(立てる・つかまり立ちができる人)
- 手すりやベッド柵につかまってもらい、介助者は横か後ろに立つ
- 脱ぐときは脇を破って外す(下ろすより早く、汚れを広げない)
- 新しいパンツ型にパッドをセットしてから、片足ずつ通す
- 立ち上がったら、腰まわりとギャザーを整える(足まわりのギャザーを外側に出すと漏れにくい)
テープ式(寝たまま交換)
- 横向きになってもらい、使用済みを内側に丸めて体の下に軽く押し込む
- 新しいテープ式を広げ、背中側の中心を背骨に合わせて半分を体の下に敷く
- 反対側を向いてもらい、使用済みを抜いて新しいほうを引き出す
- 仰向けに戻し、下のテープは上向き、上のテープは下向きに斜めに留めると、足まわりと腰まわりの両方がフィットする
いずれも、パッドは本体のギャザーの内側に収め、2枚重ねにしないのが基本です。
交換をラクにする脇役
夜の漏れ対策:本体のサイズアップより先に
夜間の漏れで最初にやりがちなのが「本体を1サイズ大きく」「本体を2枚重ね」ですが、どちらも定石ではありません。
- 夜用・高吸収のパッド(4〜6回分)に替える。本体はそのままで解決することが多い
- 寝る前の定時交換を徹底し、就寝直前に新しいパッドにする
- それでも漏れるなら、パッドの当て方(ギャザーの内側に収まっているか、男性は前側を厚く)を見直す
- 最後に本体の種類(パンツ型→夜だけテープ式)やサイズを検討する
漏れが続く・尿量が急に増えたと感じる場合は、用品ではなく体の変化の可能性もあるので、看護師や主治医に伝えてください。
本人が嫌がるときの進め方
おむつは本人の尊厳に関わるものなので、「嫌がる」のは自然な反応です。無理強いせず、段階を踏む家庭が多いです。
- 「おむつ」と呼ばず、うす型パンツを「紙の下着」「新しいパンツ」として渡す
- 最初は外出時や夜だけにして、日中は布の下着+軽いパッドから始める
- 本人がはける範囲は自分ではいてもらう(パンツ型の価値はここにある)
- 失敗を責めない。失敗が続くようなら、用品より先に排泄のタイミング(トイレ誘導)をケアマネジャーや看護師に相談する
よくある質問
最初に何パック買えばいい?
本体1パック(20〜30枚)とパッド1パックで十分です。サイズや型が合わないと丸ごと無駄になるので、1週間使って漏れ・肌・本人の受け入れを確認してから2パック目やケースに進んでください。
パンツ型とテープ式、両方そろえる必要はある?
必須ではありません。歩ける人はパンツ型だけで始めて大丈夫です。日中はパンツ型・夜はテープ式、という使い分けは、夜間の交換を介助者1人で寝たまま行いたい場合に検討します。
男性と女性で選び方は違う?
本体の選び方は同じですが、パッドの当て方が違います。男性は前側に尿が集まるので前を厚く(男性用パッドもあります)、女性は中央〜後ろ寄りに。パッドのメーカーが図解しているので一度確認してください。
肌が赤くなってきた。
用品側でできるのは、交換頻度を上げる・こすらず押さえ拭きにする・通気性の高い製品に替える、の3つです。赤みが続く・ただれる場合は皮膚トラブルの可能性があるため、看護師・主治医に早めに相談してください。
介護保険でおむつは買える?
介護保険の福祉用具には紙おむつは含まれません。ただし自治体独自のおむつ支給・助成制度がある場合が多いので、地域包括支援センターかケアマネジャーに確認してください。医療費控除の対象になる場合もあります(消耗品の月額の記事のQ&A参照)。
使用済みおむつの捨て方は?
一般的には可燃ごみですが、自治体によって出し方のルール(指定袋・中身の処理)が異なります。防臭袋で1回ずつ密閉し、ふた付きのごみ箱にためて収集日に出すのが基本です。
※当サイトが扱うのは用品の選び方です。体の状態・ケア方法に関わる判断は、主治医・看護師・ケアマネジャーに必ずご相談ください。価格は2026年10月時点の一般的な目安です。
おむつ選びの正解は「立てるか」「ヒップ何cmか」の2つで9割決まります。最初の1パックはこの2点だけ確認して、箱買いは銘柄が固定してから——です。